上顎奥歯のインプラント

前歯のインプラントは、審美性の回復という点で難易度の高い部位ですが、上顎奥歯のインプラントは手術自体、難易度が高い部位といえます。
それは上顎洞という鼻の横にある副鼻腔の存在によって左右されるのです。

上顎洞内部はシュナイダー膜という粘膜に覆われており、内部は空洞です。
一昔前に「蓄膿症」という病名がありましたが、これは上顎洞内に膿が溜まってしまう疾患です。

現在は上顎洞炎と言われています。

この上顎洞炎は、インプラント診療によっても生じる事があります

手術中にドリルで骨に穴を開ける際に、シュナイダー膜を破ってしまうと、上顎洞内に感染を起こしてしまう事があるのです。
したがって、上顎奥歯の手術では、このシュナイダー膜を損傷する事のないよう詳細な画像診断、手術手技が必要とされます。

上顎奥歯を喪失すると、歯を支えていた歯槽骨は急速に吸収していきます
これは、下顎に比べて上顎のほうが海綿骨という柔らかい骨が多いからです。

歯を喪失した直後では、インプラントを埋入する高さは充分にあっても、抜歯窩(歯が埋まっていた穴)が大きすぎて固定性が確保できません

歯を失って3~5ヵ月後には抜歯窩に新生骨が形成され、一般的にインプラントを埋入するのに適した期間と言えます。

抜歯後、そのまま放置すると、期間にほぼ比例して歯槽骨は吸収していきます。
この状態になると、そのままインプラントを埋入するには骨の高さが不十分で、仮に短いインプラントを埋入しても長期的な安定が得られにくいと言えます。
逆に無理に長いインプラントを埋入しようとするとシュナイダー膜を損傷してしまいます

このように、充分な骨の高さが確保できない場合に、インプラントの長期的安定を考慮した術式がいくつかあります。

傾斜埋入法

上顎骨後方部の上顎結節や犬歯窩やや後方に上顎洞底を避けるように埋入します。
長いインプラントを入れるため、安定が得られやすい術式です。

ソケットリフト法(部分的上顎洞底挙上術)

傾斜埋入が困難な場合に、シュナイダー膜を損傷しないよう上顎洞底の骨と粘膜を同時に持ち上げる方法です。
挙上によってできたスペースには人工骨を充填します。
この方法は残存骨が5mm~10mm程度の場合に適応となる術式です。
骨が安定するまで4~6ヶ月の待機期間を置きます

サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)

残存骨が5mm以下の場合に行う手術です。
上顎洞前壁の骨を開窓し、シュナイダー膜を剥離・挙上します。
挙上によってできたスペースには自家骨および人工骨を充填し、同時にインプラントを埋入します。
骨が安定するまで約6ヶ月の待機期間を置きます

その日から噛めるインプラント


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